近年、テレワークの普及や自然志向の高まりから、「地方移住」に興味を持つ人が増えています。
広々とした家、豊かな自然、ゆったりした時間――そんな暮らしに憧れる一方で、実際に移住した人からよく聞くのがこんな声です。

「想像以上に車がないと生活できない!」
「バスも電車もあると思ってたけど、本数が少なすぎて使えない…」
都会の感覚で「公共交通があるから大丈夫」と考えていると、移住後に不便さを痛感することになります。
この記事では、田舎暮らしでなぜ車が必要なのか、その背景や維持費、車を持てない場合の代替策まで、リアルな視点で解説します。
今回の記事で分かること
- 地方移住するなら車が必要となる理由
- 車を持ったときの維持費の目安
- 車が運転できない方の代替手段
田舎暮らしで車は必要?地方移住で直面する交通事情と現実
地方の交通は、都会と比べてまさに“別世界”。
最寄駅やバス停まで数キロ、バスの本数は1日数本ということも多く、実生活では車がないと成り立たないケースも少なくありません。
例えば新潟市では、交通手段の6割が自動車であり、公共交通(鉄道+バス)は14%にも満たないという状況です。
このような地域では、車なしでの移住生活は難しいといえるでしょう。
地方移住で車が必須な4つの理由|田舎の交通事情を徹底解説
バスは1日数本、しかも最終便が早すぎる
地方では「朝と夕方のみ運行、昼間はなし」「最終便が18時台まで」という路線が多く、生活圏を公共交通に頼るのは現実的ではありません。
駅やバス停まで徒歩ではたどり着けない距離
最寄り駅まで車で15分(約8km)、バス停まで徒歩30〜40分という例も。坂道や未舗装区間が多いと、徒歩移動は一層厳しいものになります。
買い物や病院まで遠い生活環境
スーパーやドラッグストアが数キロ先、総合病院だと片道30分〜1時間というのも珍しくありません。特に子育て世帯や高齢者にとって、これは大きな負担です。
雪や猛暑など天候・季節で移動が制限される
豪雪地帯では徒歩も自転車も使えず、冬は車が“命綱”。また猛暑の中での徒歩移動は危険ですし、天候次第ではバスや電車が運休することもあります。
車があると生活はどう変わる?田舎暮らしで得られる移動の自由
車があると、生活の自由度は一気に広がります。
- 買い物や通院が短時間で済む
徒歩やバスだと往復数時間かかる用事も、車なら30分以内で終わります。 - 休日のレジャーや観光が手軽に
温泉、山、海など、田舎ならではのスポットも車なら気軽にアクセス可能。 - 子どもの送迎や緊急時の移動がスムーズ
部活動の送り迎えや夜間の発熱時も、迷わず行動できます。
田舎での車は「移動手段」以上に、「生活の安心」を支える存在です。
地方で車を持つときの維持費と田舎特有の出費に注意
車を持つとなると、購入費だけでなく維持費も考える必要があります。
- 車両購入費
新車で150〜300万円、中古車なら50〜150万円が目安。 - ガソリン代
地域によっては都市部より高く、月1万円〜1万5千円ほどかかることも。 - 自動車保険
年間5万〜10万円程度。 - 車検代
軽自動車で5〜7万円、普通車で10万円前後(2年ごと)。 - 地域特有の費用
豪雪地帯では冬用タイヤ(スタッドレス)やチェーン、雪かき道具が必須。
一方で、自治体によっては車関連の支援制度も用意されているので、事前に調べておくと便利でしょう。
秩父市(埼玉県)では、移住者向けに軽自動車購入費として最大30万円の助成があります。
車なしで田舎暮らしはできる?代替手段と移動の工夫
実例:福島県浪江町
浪江町では、車を持たず電車・徒歩・電動キックボードで生活する移住者もこちらで紹介されています。
JR常磐線の浪江駅から徒歩30分、スーパーや診療所も徒歩30分と、立地やライフスタイルによっては車なし生活も可能です。
さらに、車を持たないことで住民との会話のきっかけになり、地域コミュニティ広がるというポジティブな面も報告されています。
車がなくても暮らせる地域の特徴
松山市、富山市、金沢市など、地方都市の中心部では公共交通や生活利便性が高く、車なしでも生活できるケースがあります。
また、政令指定都市では公共交通も相対的に充実している傾向にあります。
車以外の代替手段と工夫
「免許がない」「車を持ちたくない」という人でも、完全に不可能ではありません。
ただし、地域によってはかなり工夫が必要です。
- コミュニティバスやデマンド型交通
予約制で自宅近くまで来てくれるサービスもあり、高齢者や車を持たない人の強い味方です。 - カーシェアやレンタカー
利用頻度が低い場合は、所有するより経済的。 - 自転車+公共交通の併用
駅やバス停まで自転車で移動し、そこから公共交通を利用する方法。 - 地域の助け合いネットワーク
隣人や友人に買い物を頼む、乗り合わせで出かけるなど、田舎ならではの助け合い文化があります。
地方移住前に必ず確認すべき交通環境チェックポイント
移住前には、以下を必ず現地で確認しましょう。
項目 | チェック内容 |
---|---|
最寄り駅やバス停の距離・本数 | 徒歩圏にあるか、本数は十分か |
スーパー・病院までの距離 | 車で10〜15分以内か? |
季節・天候時の移動手段 | 冬の積雪時・雨天時のオプションはあるか |
車関連支援制度 | 自治体の購入助成や免許取得支援の有無 |
移住者の実例 | 車なし生活の成功例があるか |
まとめ
田舎暮らしは、自然の中でのびのびと暮らせる魅力がありますが、交通事情は都会とはまったく違います。
多くの地域で車は生活の基盤であり、その維持費や運転負担も覚悟する必要があります。
一方で、車を持つことで行動範囲が広がり、移住生活の楽しさや安心感も格段に増します。
地方移住を考えている方は、まず「自分の暮らしたい地域の交通環境」を細かく調べ、生活スタイルに合っているかを見極めることが成功のカギです。