今回の記事で分かること

  • 空き家バンクの制度と仕組み
  • 空き家バンクを使うメリットと利用する際の流れ

そもそも「空き家バンク」とは?制度の背景と仕組み

空き家バンクとは、全国の市区町村が運営する、空き家や空き地の情報を登録・公開するマッチングサービスです。空き家所有者が「売りたい・貸したい」意志を持って登録し、移住を考える個人や事業者に「買いたい・借りたい」をつなげる仕組みです。

この制度は、地方の過疎化・高齢化により増える空き家問題への対策として生まれ、地域の活性化や移住促進が目的。2018年の空き家率は全国で約13.6%、2033年には30.2%に上昇すると予測されるなど、課題の深刻さも見逃せません。(参考:スペースシップ・アース


空き家バンクを使うメリットとは?移住希望者向けの魅力

  • 安価な物件が多い:一般の不動産サイトよりも価格が安く、家賃1万円など格安物件も。
  • 自治体窓口の安心感:自治体が窓口となるため、情報の信頼性が高く、地域とのつながりも得やすいです。
  • 全国版検索へのアクセス:複数自治体の情報をまとめて検索できる全国ポータルもあり、広範囲で探せます。

空き家バンク利用の流れ:探す人・登録する人別ステップ解説

(A)物件を探す人(利用者)の流れ

  1. 各自治体の空き家バンクページへアクセスし、会員登録
  2. 希望条件に合う物件を検索・問い合わせ
  3. 現地見学(内覧)を申し込み、地域情報も確認
  4. 交渉申し込み、仲介業者を通じて売主と条件交渉へ
  5. 契約締結、引き渡し、補助制度の申請(必要に応じて)

(B)物件を提供する人(所有者)の流れ

  1. 自治体へ事前相談、登録申請書の提出
  2. 審査・現地調査の実施(自治体職員が確認)
  3. 登録承認後、物件が自治体サイト等で公開
  4. 利用希望者からの問い合わせ対応、仲介業者選任・契約へ

自治体別事例紹介:橋本市・伊勢市の登録状況と成約率

  • 橋本市(和歌山県)
    2025年5月時点で、登録物件159件、成約済131件と成約率82.4%と高水準。また、無償譲渡物件(0円・1万円未満)も登録可能で注目されています。(参考:橋本市役所
  • 伊勢市(三重県)
    売買39件、賃貸3件、売買・賃貸併用2件、成約済97件と活発に利用されています。契約には指定の不動産業者が仲介を行う仕組みです。(参考:伊勢市公式サイト

こうした数字は、自治体が制度を活用して高い活用率を生み出している証です。


失敗しないための注意点&必読チェックリスト

  • 物件状態の確認は必須:雨漏り、白アリ、配管の状態などは現地でしっかり確認を。
  • リフォーム費用を見極めよう:格安の裏にはリフォーム費が膨らむケースも。見積もりを取ってから判断を。
  • 交渉・契約手続きが煩雑:専門家のサポートがないと難しい場合も。自治体提携業者に相談を。
  • 地域コミュニティへの馴染み:移住後の生活において、自治会や助け合い関係は重要です。

チェックリスト:利用前に確認したいこと

  • 物件の築年数・構造・設備状態
  • 周辺環境(スーパー・病院・公共交通など)
  • リフォーム費用の目安
  • 自治体の補助・移住支援制度の有無
  • 契約や登記サポート体制の有無

自治体による補助制度・支援の活用法

自治体によっては、空き家取得や改修の費用に補助が出る場合があります。例えば、岐阜県高山市では、取得費用の2分の1以内(最大100万円)、改修費用の3分の2以内(最大133万円)の補助制度があり、5年以上の定住を条件とするものがあります。

移住を考える際には、併せてこれらの支援制度もチェックし、賢く活用することをおすすめします。


まとめ:空き家バンクを活用して理想の地方暮らしを実現しよう

空き家バンクは、地方移住や二地域居住、セカンドハウスの取得など、多様なニーズに応える制度です。自治体運営による信頼感、安価な住居確保の可能性、補助制度の活用などメリットも多く、移住の第一歩として非常に有効です。

一方、物件状態・契約・地域との関係づくりなど考慮すべき点も多いため、事前の情報収集と現地確認、自治体窓口や専門家との相談は不可欠です。

まずは、気になる自治体の空き家バンク情報を調べ、登録し、現地を見て、自分に合う一歩を踏み出してみてください。